羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「男からしたら引いてしまいます」オリエンタルラジオ・藤森慎吾
『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(12月1日、テレビ朝日系)
男性芸能人がわいせつ事件や暴行事件を起こしたとき、必ず「女性側に非がある」という意見が持ち上がる。
例えば、2018年に当時TOKIOの山口達也が、女子高生に強制わいせつを働いた事件。番組で共演していた被害者の女子高生が、友人と共に山口のマンションを訪れたところ、無理やりキスされたという。この事件に対し、デヴィ夫人は自らのオフィシャルブログ内で、「厳しすぎ、騒ぎすぎでしょう! 山口達也氏のTOKIOの仲間の方達は、許されない行為と言っているけれど、本当にそうでしょうか。泥酔男性のKiss位で? この女の子達は山口達也氏の所だから行ったんでしょう」とつづっていた。
デヴィ夫人のように、「女性側に非がある」と唱える人は、よく「男の部屋に自らの意志で行った」ということを主張する。つまり、男の部屋に自らの意志で行くというのは、性的合意がなされている、そういう女とのセックスは強姦ではない……そんなふうに考える人がいるということだろう。
目をパチクリさせる若い人が多いと思われるが、今から20~30年前の性的合意とは、「密室空間に2人きりでいること」だったように思う。青年向け雑誌には、「女の子と密室で2人きりになれば、セックスオッケーの印」といったことが、平然と書かれていた。この理論で言うと、仕事中に会議室で打ち合わせをしたり、車に乗るなどして、2人きりになったら「強姦されても文句は言えない」ということになってしまう。しかし、当時は誰もそのあたりをつっこまなかった。
性犯罪において「合意があったかどうか」は、裁判の大きなポイントになるが、その合意がどのようになされるかについて教わった経験がある人は少ないだろう。映画やドラマでは性的同意がなされなくても「どちらからともなく、自然と安全なセックス」が始まることは多い。性的同意を知らずに育った世代は、これらを見て、「セックスにおいて合意を交わし合う必要はない」もしくは「女性自ら、逃げられない場所に行った場合、それは性的合意」と認知をねじ曲げていくのではないだろうか。
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2019-12-05 12:00:00Z
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