第37話「王の中の王」は、主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」が、「矢」の力によって「ゴールド・E・レクイエム」へと進化したところで終わっていただけに、ボス=ディアボロとの決着がどうなるのか、ファンはこの日が待ち遠しかったことだろう。
ディアボロ戦が決着を迎えた第38話はもちろんのこと、何よりもファンの胸を熱くさせてくれたのは、最終話で「眠れる奴隷」のエピソードがしっかりと描かれたことだ。
「眠れる奴隷」は原作第5部のラストを飾るエピソードだが、(第5部の)物語全体のエピローグという位置づけでもあるため、一部ファンの間では「ひょっとしてアニメではカットされるのでは?」と密かに不安視されていた。というのも、アニメ版「黄金の風」は、原作コミックス16巻分のエピソードを3クールに凝縮して描いている密度の濃いシリーズ。それだけに、ストーリー展開のペースから判断して「エピローグまで描き切れないかもしれない」と予想する声もあったのだ。
しかし、これまで『ジョジョ』ファンの期待を決して裏切らなかったアニメ版のスタッフたちは、今回も信頼に応えてくれた。最終話のサブタイトルが「眠れる奴隷」と発表された時点で、不安は期待に変わり、期待値はMAXになっていたのである。
『ジョジョ』ファンの揃ったアニメ版スタッフたちは、この名作エピソードを、腰を据えてじっくり映像化してくれた。「眠れる奴隷」が描かれる伏線は、実はアニメ版の放送開始直後から、第1弾のOP(「Fighting Gold」)映像の中に込められていたのだ。
ダブル監督のひとりで、この第1弾OPの絵コンテ・演出を手掛けた木村泰大さんは、アニメージュ2019年4月号の『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』巻頭特集の中で、以下のようにコメントしている。
「(OP第1弾の)コンセプトは『運命』です。なので、CUT1で眠れる奴隷とローリング・ストーン(ズ)を出すのは絶対にやりたかったことの一つです。実際は眠れる奴隷のポーズは使用できなかったのですが、ローリング・ストーン(ズ)は画面の輝度を最大まで上げれば見えると思います。内容は運命の奴隷であるブチャラティたちがジョルノの加入によって眠りから覚め、ともに歩んでいくといった感じです」
第1弾OPの冒頭カットに忍ばせていた「ローリング・ストーン(ズ)」。放送開始直後からの長い伏線は、最終話でついに回収された。ファンは改めてBDで第1弾OPを観直して、スタッフの決意表明ともいうべきそれらの要素を見つけてほしい。その上で最終話を振り返れば、木村監督の言葉の意味をより深く噛みしめることができるだろう。
ちなみに、同じく木村監督が絵コンテ・演出を担当した第2弾OP(「裏切り者のレクイエム」)映像の冒頭カットにも、最終話につながる重要な伏線が込められていた。最終話のラストシーン、豪奢な椅子に座った(新たなボスとなった)ジョルノの前に跪く男こそ、第2弾OPの冒頭で手の甲にキスをする男だったのである。つまり、あの手はジョルノの手だったわけだ。そうなると、「第2弾OPの映像全体が、ボスとなったジョルノの回想だったのでは?」とも考えられる。その視点で改めて観ると、映像から受ける印象もまた違ったものになるかもしれない。
https://animageplus.jp/articles/detail/27527
2019-07-28 12:36:39Z
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